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完本 中国古典の人間学

左伝、戦国策、史記、三国志、 十八史略、孫子、呉子……中国四千年の叡智が、これ一冊でわかる!

 中国古典は、かつて日本人の教養の根幹であった。江戸時代も末期になると、各藩に藩校が設けられて人材の養成に当たったが、そこで何を学んだのかと言えば、中国古典である。これには一校の例外もなかったと言ってよい。
 藩校だけではない。全国各地に私塾が普及し、その数二千にのぼったと言われるが、これまた二、三の例外を除いて、中心の教科はほとんど中国古典であった。
 日本の先人たちは、このようにして中国古典の精華を吸収し、人づくりの柱にしてきたのである。
 やがて、そういう教育のなかから多くの人材が輩出し、明治という時代をつくり、大正へとつなげてきたのである。この世代の心を支えてきたのは、中国古典 であった。してみると、日本の近代を切り開いてきたのは、中国古典の素養であったと言っても過言でない。
 しかし、その伝統の流れも、昭和から平成へと時代が移るにつれて途絶えがちになり、いまや私どものなかに中国古典の素養がめっきり薄くなっている。近 年、この社会がとみに液状化現象を呈し、説得力のないリーダーが幅をきかしているのも、そのことと無縁ではないように思われる。
 アメリカ流に学ぶのはよいのである。しかし、それだけに偏ったのでは、あまりにもバランスを欠いている。失われたバランスを回復するためにも、この国を 築いてきた立派な伝統に目を向ける必要があるのではないか。その一環として、先人たちの教養の根幹であった中国古典を見直したい。
(中略)
 本書では、主な古典二十四冊を取り上げ、これらのテーマに即しながら、その内容を紹介してみた。取り上げた順番は、まず『左伝』『戦国策』『史記』『三 国志』『十八史略』の歴史書。次いで『孫子』『呉子』『六韜・三略』『諸葛亮集』『三十六計』の兵法書。さらに『論語』『孟子』『荀子』『近思録』『伝習 録』の儒学関連の書。そのあとに『老子』『荘子』『管子』『韓非子』の諸子百家の書。そして最後にその他の著名な古典『顔氏家訓』『貞観政要』『宋名臣言 行録』『為政三部書』『菜根譚』の五冊を、それぞれ時代順に配列してみた。
 これでめぼしい中国古典をほとんど網羅したつもりである。
 念のため付け加えておけば、本書は単なる古典の解説や解題ではない。上記の三つのテーマに即してそれぞれのエッセンスを取り出し、先賢の知恵に学ぶことを意図したものである。
(中略)
 本書を通して、中国古典の魅力の一端に触れていただくとともに、現代を生きる指針のようなものを学び取っていただければと願っている。

(本書「はじめに」より抜粋)

[著] 守屋 洋もりや・ひろし

著述業(中国文学者)。昭和7年、宮城県生まれ。東京都立大学中国文学科修士課程修了。著訳書に『中国古典の名文集』『全訳「武経七書」』(全三巻)『「老子」の人間学』『菜根譚の人間学』『六韜・三略の兵法』『漢詩の人間学』『論語の人間学』(いずれもプレジデント社)など多数。

目次

左伝

『左伝』の面白さ――晋の文公の組織強化法――西戎の覇者、秦のぼつ公――墓穴を掘った「宋襄の仁」――「呉越の戦い」に学ぶ――晏嬰の外交交渉

戦国策

応対辞令の宝庫――意表をつく説得法――したたかな駆け引き――人間関係の機微――部下をやる気にさせる法――先ず隗より始めよ

史記

幹部は歴史の本を――太っ腹だった楚の荘王――呉起の部下統率法――剛と柔の組織管理――侠客の人心収攬術――范蠡の明哲保身

三国志

『三国志』の面白さ――乱世の奸雄、曹操――徳の人、劉備――生き残りに成功した孫権――健全経営に徹した孔明――率先垂範の名宰相――司馬仲達の実力

十八史略

名補佐役の政治姿勢――項羽と劉邦の対決――韓信と蕭何の活躍――張良という名軍師――宰相は細事に親しまず――トップが自滅する構図

孫子

勝算なきは戦わず――戦わずして勝つ――「兵の形は水に象る」――曲線思考のすすめ――智、勇、信――厳と仁との匙加減

呉子

呉起という兵法家――まず組織を固めよ――組織管理のポイント――信賞必罰と温情主義――柔軟な戦略戦術――「将を論ず」

六韜・三略

太公望ゆかりの兵法書――政治の要諦とは――人材登用の眼目――中国流兵法の極意――「戦わずして勝つ」法――将たる者の条件

諸葛亮集

『三国志』の立役者――統率力の秘密――孔明の指導者論――組織活性化の知恵――部下の指導と人物鑑定――平凡に徹した非凡

三十六計

第一部 勝戦の計――第二部 敵戦の計――第三部 攻戦の計――第四部 混戦の計――第五部 併戦の計――第六部 敗戦の計

論語

角さんに釘をさした周恩来――人生の苦労人、孔子――前向きで、たくましい生き方――人間関係の要諦――理想の人間像――「君子」の条件

孟子

戦闘的な理想主義者――人間に対する深い信頼――「これをこれ大丈夫と謂う」――不動心の境地――柔軟な処世態度――迫力に富む説得術

荀子

荀子と「性悪説」――自分を鍛える――バランスのとれた組織管理――組織のなかの人間学――王者の兵法とは――誤りなき判断を下す

近思録

人間形成の指針として――学ばざれば老いて衰う――日常の修養について――上に立つ者の心得――弱さを自覚する――失意のときにも泰然と

伝習録

陽明学と『伝習録』――「知行合一」について――人間形成の四つの指針――「省察克治」の修養法――事上磨錬の心がけ――王陽明の人物と名言

老子

しぶとい処世の知恵――才能をひけらかすな――足るを知る心――取ろうとするならまず与えよ――老子流組織管理の要諦――指導者の四つのランク

荘子

発想の転換を促す――人間の器を大きくする――無用の用を発見せよ――忘れることの効用――「これを望めば木鶏に似たり」――名利にとらわれない生き方

管子

「管鮑の交わり」――地に足のついた理想――為政者の心構え――「天下を得るには、まず人を得る」――信義を重じた外交――管仲の兵法論

韓非子

人間不信の指導哲学――黙ってにらみをきかす――術による部下の統率法――トップが自滅する原因――人の力に頼ってはならない――進言は逆鱗に触れずに

顔氏家訓

乱世を生き残る英知――家庭での躾――学問のすすめ――極端を嫌う――社会人としてのたしなみ――「養生」を説く

貞観政要

守りの時代の帝王学――部下の諫言に耳を――まず、我が身を正す――最初の緊張感を持続させる――自己コントロールに徹する――態度は謙虚、言葉は慎重

宋名臣言行録

宋代の士風――「先憂後楽」の心がけ――能力か人格か――人との関係での気くばり――寛猛、中を得るに在り――「寛にして厳」のバランス

為政三部書

節義に生きた張養浩――みずからに厳しくあれ――リスクにどう対処するか――人材の登用を図れ――自分を生かし人を生かす――引き際の潔さ

菜根譚

『菜根譚』は人生の書――人間関係を円滑にする知恵――人には寛容であれ――バランス感覚を養う――逆境に耐える心構え――日常不断の修養

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