ネット・プロモーター経営

ネット・プロモーター経営
顧客ロイヤルティ指標NPSで「利益ある成長」を実現する

「ファン顧客」を味方につけて成長している企業の法則

「NPSはアップルに自然になじみました。
 NPSはアップルストアのDNAの一部になっています」

  ――ロン・ジョンソン(アップル リテール担当シニア・バイスプレジデント兼創業幹部)


「私たちは、お客様や従業員に、
 かならず「スゴイ!」と感動していただけるように、
 NPSを常日頃から活用しています」

  ――トニー・シェイ(ザッポスCEO)


顧客満足度をあげるための「新たな指標」として、導入されつつあるNPS。
では、NPSを成果に結びつけるためには何が重要なのか。
技術的な側面を加えた内容から、
アップル、アメリカン・エキスプレス、ザッポスなどの欧米企業の事例、
顧客志向の徹底によって成長している企業の事例についてを網羅。


四六 判( 384 頁)
ISBN: 9784833420334

2013年01月30日発売 / 2,640円(税込)

■著者紹介

ロブ・マーキー
ベイン・アンド・カンパニー ニューヨークオフィス パートナー

1990年にベインに入社。顧客と従業員のロイヤルティを通して、収益ある持続可能な成長をクライアント企業が実現するための支援を行う。顧客体験の向上に関するベイン社内での専門家であり、同社の顧客戦略・マーケティングプラクティスを統括している。金融サービス業を中心に、メディア、テクノロジー、小売、プロフェッショナルサービス、運輸業など幅広い業界のコンサルティングに携わる。NPSロイヤルティ・フォーラムというロイヤルティで先進的な取り組みを行う企業の経営幹部たちが参加し、企業内に顧客と従業員を手助けする文化を培う方法について体験やアドバイスを共有する会合を創設。『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌をはじめ、さまざまなビジネス誌に寄稿し、旧版『究極の質問』にも貢献。顧客体験、顧客と従業員のロイヤルティ、顧客主導の成長というテーマで頻繁に講演を行う。ブラウン大学、ハーバード・ビジネス・スクールを卒業。妻のリサと子供たちと共にボストン在住。


フレッド・ライクヘルド
ベイン・アンド・カンパニー フェロー

1977年にベイン・アンド・カンパニーに入社。1982年にパートナーに就任。同社のロイヤルティ・プラクティスの発起人で、ベインの指名委員会、報酬委員会、ワールドワイド経営委員会などでリーダーシップをとってきた。1999年1月、同社初のフェローに選出。顧客、従業員、パートナーのロイヤルティ改善を通したクライアント企業の業績向上を中心とした、コンサルティング業務と調査に携わる。米『コンサルティングマガジン』誌の2003年6月号で、世界で最も影響力のあるコンサルタント25名に選ばれた。『ウォールストリート・ジャーナル』誌、『ニューヨーク・タイムズ』紙、『フォーチュン』誌、『ビジネスウィーク』誌、『エコノミスト』誌などによる取材や寄稿多数。『エコノミスト』誌は彼をロイヤルティの「第一人者」と呼び、『ニューヨーク・タイムズ』紙は「ロイヤルティの経済性を地図上に示した人物」と記載。『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌に8本の論文を掲載。
著書に“The Loyalty Effect”(1996年、ハーバード・ビジネス・スクール・プレス:邦訳『顧客ロイヤルティのマネジメント』ダイヤモンド社)、“Loyalty Rules!”(2001年、ハーバード・ビジネス・スクール・プレス:邦訳『ロイヤルティ戦略論』ダイヤモンド社)がある。また、本書の旧版『究極の質問』(ハーバード・ビジネス・プレス)は2006年に出版。主要なビジネスフォーラムや、世界中のCEOをはじめとする経営幹部層のグループ向けに、頻繁に講演を行う。
ハーバード大学、ハーバード・ビジネス・スクールを卒業。妻のカレンと共にボストン在住。


■監訳者紹介

森光威文(もりみつ・たけふみ)
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン パートナー

1991年にベインに参画。東京オフィスに加え、ソウルオフィス、ボストンオフィス等において、プライベートエクイティ、ヘルスケア、小売、不動産、建設、消費財、総合商社、部品メーカー等の幅広い業界のコンサルティングに携わる。
全社・事業戦略、組織改革、収益向上、コスト改革などのテーマに注力し、企業買収・統合後の事業戦略立案・価値向上プログラム立案及び実行支援に数多く参画。顧客ロイヤルティについても、NPSを使った数々の企業のコンサルティング経験を有する。顧客ロイヤルティ向上、顧客忠誠度向上による成長戦略について、外部での講演や番組出演多数。
ベイン東京オフィスの顧客戦略・マーケティングプラクティス、産業財プラクティスのリーダー。
一橋大学法学部卒、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士課程修了。


大越一樹(おおこし・かずき)
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン プリンシパル

第一勧業銀行、アーンスト・アンド・ヤングを経て、2006年にベインに参画。
銀行、ホテル、自動車、通信関連サービス等において、全社戦略、顧客戦略、営業改革、アフターサービス戦略等のコンサルティングに携わる。また、特定非営利活動法人(NPO 法人)に対するプロボノ・コンサルティングにも数多く参画。
ベインの顧客戦略・マーケティングプラクティスのメンバー。
京都大学法学部卒、フランスHEC 経営大学院経営学修士課程修了。


――ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)について
1973年に設立。世界31カ国に48拠点のネットワーク、約5400名を擁する世界有数の戦略コンサルティングファーム。クライアントとの共同プロジェクトを通じた結果主義へのこだわりをコンサルティングの信条としており、結果主義の実現のために、高度なプロフェッショナリズムを追及するのみならず、きわめて緊密なグローバル・チームワーク・カルチャーを特徴としている。また、同社は米国コンサルティングマガジン誌の「働きたいコンサルティングファーム(The Best Firms to Work for)ランキング」で10年連続第1位にランクされている(2003~2012年)。

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目次

序章 スコアからシステムへ

NPSの誕生
NPSの進化
本書のハイライト
NPSの効果を発揮させるためには

第I部 ネット・プロモーター・システムの基礎

第1章 悪しき利益と良き利益、そして究極の質問

悪しき利益に支配されたAOL
悪しき利益が成長を妨げる構造
もう一つの道――良き利益
良き利益と悪しき利益の見分け方
究極の質問

第2章 成果を測定する基準

チャレンジ:顧客の幸福度を測定する
究極の質問の発見
回答の採点法
インテュイットの処方箋
インテュイットが手にした成果――幸福な顧客と幸福な株主

第3章 NPSが利益ある成長をもたらすメカニズム

顧客リレーションシップの経済的効果
デルに見る口コミの経済性
NPSと成長の関係:相対的(競合対比の)NPS
その他の考慮点
相対的NPSと市場シェア

第4章 エンタープライズの物語――意味のあるものを測定する

測定法について学習する
ESQiを本格的に導入する
ESQiの成功の秘訣
ESQiが改善を促す仕組み
改善への取り組みを加速する「投票」制度
独自の制度を利用することについて

第5章 NPSを測定するには

原則 一 究極の質問を尋ね、それ以外の質問は極力減らす
原則 二 有効な評価尺度を選び、それを使い続ける
原則 三 自社顧客調査(ボトムアップ)のスコアと
外部調査(トップダウンやベンチマーク)のスコアを混同しない
原則 四 適切な顧客からの回答率を高めることを目指す
原則 五 財務データと同じ頻度で、NPSの報告や議論を行う
原則 六 調査単位を細かくして、より速く学習し、責任を持たせる
原則 七 正確さを担保し、バイアスを取り除く コラム◎バイアスとの戦い
原則 八 顧客のスコアと行動との相関を実証する
結論


日本語版コラム I 日本企業がよく陥る課題と改善のアプローチ

 

第II部 結果をつくり出す

第6章 NPSで成果を出すということ

チャールズ・シュワブ
アップル(リテール事業)
アセンション・ヘルス
プログレッシブ・グループ・オブ・インシュアランス
ラックスペース
ヴァージン・メディア
その他のサクセス・ストーリー
NPSを成功させるための三つの鍵

第7章 経済性と動機付け:二つの欠かせない柱

動機付けの柱──自分のミッションの達成度合いを測定する
経済性の柱──CFOを味方につける
二本柱を補強する──悪しき利益と正面から向き合う
二本柱のバランスをとる──従業員ロイヤルティを測定する
NPSの始め方──動機付けと経済性に関するポイント

第8章 顧客との「クローズド・ループ」を回す

最前線でクローズド・ループをつくる
ミドルマネジャーのための「クローズド・ループ」
経営幹部のための「クローズド・ループ」
顧客コミュニティをつくる

第9章 長期的な変革に備える

成功に向けた適材適所
組織の壁を越えて取り組む
顧客を中心に組織を再編する
人材の採用や入れ替えを適切に行う
NPSと報酬の連動に慎重を期する
IT部門から十分な支援を受ける
企業文化を変革する

第10章 ネット・プロモーターの最前線

従業員NPS
内外からの抵抗
本当のリスク
信頼できる数字について
その他の改善点について
NPSの実践が非常に難しい理由

 

日本語版コラム II 顧客ロイヤルティ強化で成功している日本の事例

付録 ネット・プロモーター先進企業からのアドバイス

注記