中内功のかばん持ち

中内功のかばん持ち
昭和のカリスマと呼ばれた男

かつての秘書がいま解き明かす、ダイエー創業者の素顔

流通革命を成し遂げた熱い想い、リクルート買収や福岡ツインドームシティ計画の舞台裏……。 ダイエーを日本一の企業グループに成長させた中内功とはどんな人物だったのか。壮絶な人生観とユーモラスなエピソードを、最側近として仕えた筆者が説き明かす。


――中内さんが「恩地さ~ん」と口を開いた。ああ、この呼び方はやはり何か頼まれるなと直感でわかった。ちょっとはにかみながら「朝、洗面所で入れ歯を落としてなあ」と言いつつ、ティッシュペーパーに無造作に包まれた入れ歯を差し出し、「真ん中にひび入ってるやろ? 悪いけどなあ、最初の東海銀行は歯ァなしでいくから、その間にこれ直して(修理して)次の富士銀行の前で待っといてくれるかあ?」「……は、はい、承知しました」と言ったものの、そんな曲芸みたいなことができますかいな。――
(本文より)


中内さんはいろんな言葉を残されましたけれども、その中で一番有名なのが「よい品をどんどん安く」という言葉です。この言葉は小売業の永遠のモットーなのではないかと思います。私どもも、過去からこの言葉を噛みしめて商売をやってきました。
――柳井 正 ファーストリテイリング会長兼社長
  「中内功氏を偲ぶ会」でのスピーチから

四六 判( 184 頁)
ISBN: 9784833420594

2013年08月31日発売 / 1,980円(税込)

[著]恩地祥光(おんじ・よしみつ)

1954年大阪市生まれ。同志社大学法学部卒業後、1977年に株式会社ダイエーに入社。中内功CEO秘書役・総合企画室長・経営企画本部長等を歴任。入社5年目、26歳のときに秘書室に着任。“かばん持ち”として4年間、CEOの間近で仕える。その後、専務に就任した長男・中内潤氏の秘書役を経て、経営企画の分野に異動。リクルートやハワイ・アラモアナショッピングセンター買収などの大型M&A案件、ローソンの上海進出などの事業開発案件を手がける。一方で、社内組織に初のカンパニー制を導入。また、ローソンをはじめとする関連会社の上場準備に中心的な役割を果たす。1998年、株式会社レコフ入社。2008年、COO・経営企画委員会メンバーを経て、2010年代表取締役社長に就任、現在に至る。

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目次

はじめに

刊行に寄せて
「流通業のスターよ、永遠なれ」 柳井 正 ファーストリテイリング会長兼社長

1 “かばん持ち”前夜――ダイエー1兆円達成

2 秘書室着任、そしてご対面

3 ドタバタ“かばん持ち”のスタート

4 入れ歯と赤字決算

5 店巡回――カメラ、糖度計、ベータムービー……

6 CEO、フェスティバルホールに出演す!

7 学歴と“オネスト”――除籍から中退、卒業へ?

8 理念の人――稀代のコピーライターとしてのCEO

9 新しいモノ好き――時々言い間違い

10 オーナーシップ、そして事業承継

11 天邪鬼は福岡ドームにて極まれり

12 リスクマネジメント――「沢庵の尻尾齧ってでも……」

13 ハワイ大好き

14 リクルート“事件”――頭を掻きむしる江副さん

15 頼まれたら弱い!――ヤオハンとのM&A

16 中内さん初の黒字事業売却

17 汚れた顔の天使――ワーナー事業

18 戦争は絶対あかん

19 中内学校

20 生涯のライバル――堤清二さんとの共通点

21 最期

おわりに