年収は「住むところ」で決まる

年収は「住むところ」で決まる
雇用とイノベーションの都市経済学

「イノベーション都市」の高卒者は、「旧来型製造業都市」の大卒者より稼いでいる!?
新しい仕事はどこで生まれているか? 「ものづくり」大国にとっての不都合な真実。

本書は、日本が、東京が、そしてあなた自身が「イノベーションの世紀」という大海原へ飛び出すための、心強い羅針盤となるだろう。
――大阪大学経済学部准教授 安田洋祐

四六 判( 356 頁)
ISBN: 9784833420822

2014年04月24日発売 / 2,200円(税込)

【著】エンリコ・モレッティ(Enrico Moretti)
経済学者。カリフォルニア大学バークレー校教授。専門は労働経済学、都市経済学、地域経済学。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)国際成長センター・都市化プログラムディレクター。サンフランシスコ連邦準備銀行客員研究員、全米経済研究所(NBER)リサーチ・アソシエイト、ロンドンの経済政策研究センター(CEPR)及びボンの労働経済学研究所(IZA)リサーチ・フェローを務める。イタリア生まれ。ボッコーニ大学(ミラノ)卒業。カリフォルニア大学バークレー校でPh.D.取得。

【解】安田洋祐(Yosuke Yasuda)
経済学者。大阪大学経済学部准教授。専門はマーケット・デザイン、ゲーム理論。2002年東京大学経済学部卒業。2007年プリンストン大学経済学部Ph.D.取得。政策研究大学院大学助教授を経て現職。

【訳】池村千秋(Chiaki Ikemura)
翻訳者。訳書に『ワーク・シフト』(リンダ・グラットン著、プレジデント社)、『大停滞』(タイラー・コーエン著、NTT出版)、『グーグル/ネット覇者の真実』(共訳、スティーブン・レヴィ著、阪急コミュニケーションズ)などがある。

目次はこちら(クリックで開きます)

目次

日本語版への序章 浮かぶ都市、沈む都市


第1章 なぜ「ものづくり」だけでは駄目なのか

製造業の衰退は人々の生き方まで変えた
リーバイスの工場がアメリカから消えた日
高学歴の若者による「都市型製造業」の限界
中国とウォルマートは貧困層の味方?
アメリカの製造業の規模は中国と同じ
結局、人間にしかできない仕事が残る
先進国の製造業は復活しない

第2章 イノベーション産業の「乗数効果」

イノベーション産業の規模と広がり
エンジニアが増えればヨガのインストラクターも増える
ハイテク関連の雇用には「五倍」の乗数効果がある
新しい雇用、古い雇用、リサイクルされる雇用
本当に優秀な人は、そこそこ優秀な人材の100倍優れている
アウトソーシングが雇用を増やすこともある

第3章 給料は学歴より住所で決まる

シアトルとアルバカーキの「二都物語」
イノベーション産業は一握りの都市に集中している
上位都市の高卒者は下位都市の大卒者よりも年収が高い
隣人の教育レベルがあなたの給料を決める
「大分岐」と新しい格差地図
健康と寿命の地域格差
離婚と政治参加の地域格差
非営利事業の地域格差

第4章 「引き寄せ」のパワー

ウォルマートがサンフランシスコを愛する理由
魅力的な都市の条件その1──厚みのある労働市場
魅力的な都市の条件その2──ビジネスのエコシステム
魅力的な都市の条件その3──知識の伝播
頭脳流出が朗報である理由
イノベーションの拠点は簡単に海外移転できない
変化に適応するか、さもなくば死か

第5章 移住と生活コスト

学歴の低い層ほど地元にとどまる
「移住クーポン」で失業を解決できるか
格差と不動産価格の知られざる関係
町のグレードが上がると困る人たち

第6章 「貧困の罠」と地域再生の条件

スター研究者の経済効果
バイオテクノロジー産業とハリウッドの共通点
シリコンバレーができたのは「偶然」だった
文化やアートが充実していても貧乏な都市
大学は成長の原動力になりうるか?
「ビッグプッシュ」の経済学
20世紀のアメリカに「産業革命」をもたらした政策
産業政策の可能性と落とし穴
補助金による企業誘致の理論と実際
地域活性化策の成功の条件

第7章 新たなる「人的資本の世紀」

科学研究が社会に及ぼす恩恵
格差の核心は教育にある
大学進学はきわめてハイリターンの投資
世界の数学・科学教育レース
イノベーションの担い手は移民?
移民は非移民に比べて起業する確率が三割も高い
移民政策の転換か、自国民の教育か
ローカル・グローバル・エコノミーの時代

謝辞
解説 安田洋祐
参考文献
原注