ポピュリズム化する世界

ポピュリズム化する世界

トランプ、ルペン、サンダース、ベルルスコーニ、小泉純一郎……なぜポピュリストは物事に白黒をつけたがるのか?

四六 判( 304 頁)
ISBN: 9784833421911

2016年09月30日発売 / 1,760円(税込)

[著]国末憲人(くにすえ・のりと)
 朝日新聞GLOBE編集長、青山学院大学仏文科非常勤講師。1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し、朝日新聞社に入社。パリ支局員、パリ支局長、論説委員を経て2016年9月から朝日新聞日曜版GLOBE編集長。著書に『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実権国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)など。

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目次

第1章 なぜポピュリストが世界で跋扈するのか

今年の顔はこの男/人民がいた時代/小泉、ルペン、ベルルスコーニ/標的を定めて/ドン・キホーテ症候群/白黒分別主義/マルチ商法プロデュース/巻き添えパフォーマンス

第2章 冷戦後の新秩序はまだ固まっていない

世界が変わった九〇年代/壁の崩壊、価値観の喪失/左右から上下へ/貧乏人がトランプを支持するからくり/左翼から右翼へ一瞬の旅/ボタ山の街で/右翼のショーウィンドー

第3章 着ぐるみ民主主義の時代

ポピュリズムとは何か/ポピュリズムとナショナリズム/石原慎太郎と橋下徹は何が違うか/ポピュリズムと強権主義/プーチン突然の転向/ポピュリストとデマゴーグ/ポピュリズムの三形態/薄い思想、厚い思想/ポピュリズムの耐えられない軽さ

第4章 トランプが大統領になる日

フォートワースの集会/驚きの演出/シンプルで、身ぶり豊かに/罵倒の戦術/同じフレーズを二度三度/日本叩きの背景/大統領選史上初の性器論争/柔道が空手に/説教する政治、共感する政治/「トランプ」ブランド/父親の謎/透けて見える差別体質/伝統への郷愁/ポピュリズムの可能性

第5章 サンダースの謎を探る

オバマのポピュリズム観/おじいさんと孫の結託/庶民の英雄「スーパー・サンダース」/コインの裏表/異なるのは「解決法」/左と右が出合う時/足りないか、やりすぎか/参加型民主主義の限界/ポピュリズムが絆をつくる

第6章 国民投票の罠に落ちた英国

明け方の逆転/演出を担った男/党首との漫談/ユーキップの台頭/差別のエネルギーを転換/お坊ちゃんの火遊び/摩訶不思議なキャンペーン/カネにしか興味がないのか/愉快犯高笑い/英国が示す教訓

第7章 右翼が守る欧州文明

「愛国的宴会」/「ルペン」支配の確立/「ガス室」事件/ポピュリズム政党への成長/「伝統」対「カジュアル」/文明の擁護者として/マリーヌが語る「フランス人」/オランダの反イスラム/寛容さを右翼が担う

第8章 プーチンはなぜ80%の支持を得るのか

ロシア化する半島/併合を支持する欧州議員/モスクワ詣で/ルシアン・コネクション/ポピュリズムと強権主義のはざま/情報の主戦場ウクライナ/「八十円で愛国的セックス」/「プーチンを見習え」

第9章 ポピュリストが政権を握る時

サメが出ると得票が下がる/デモクラシーの「素朴理論」/ディナーパーティーの泥酔客274/右翼の閣外協力/政権獲得への弱点/臭いモノの蓋を取れ

終わりに 我ら成り上がり者……