新装版 禅と陽明学・上

新装版 禅と陽明学・上

仏教と儒教、人生にどう活かすか

四六 判( 400 頁)
ISBN: 9784833421928

2016年10月17日発売 / 1,870円(税込)

[著]安岡正篤(やすおか・まさひろ)

明治31年(1898)、大阪市生まれ。
大阪府立四條畷中学、第一高等学校を経て、大正11年、東京帝国大学法学部政治学科卒業。東洋政治哲学・人物学の権威。既に二十代後半から陽明学者として政財界、陸海軍関係者に広く知られ、昭和2年に(財)金鶏学院、同6年に日本農士学校を創立、東洋思想の研究と後進の育成に従事。戦後、昭和24年に師友会を設立、政財界リーダーの啓発・教化につとめ歴代首相より諮問を受く。58年12月逝去。
〈主要著書〉「支那思想及び人物講話」(大正10年)、「王陽明研究」(同11)、「日本精神の研究」(同13)、「東洋倫理概論」「東洋政治哲学」「童心残筆」「漢詩読本」「経世瑣言」「世界の旅」「老荘思想」「政治家と実践哲学」「新編百朝集」「易学入門」
〈講義・講演録〉「朝の論語」「活学1~3」「東洋思想十講」「三国志と人間学」「運命を創る」「運命を開く」ほか。

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目次

第一章 禅の先駆「ヨーガ」

  •  佛教の兄弟「ヨーガ」/古代インドの宗教/宗教の哲学化
  •  ヨーガの五段階/無明・欣・厭/梵神の象徴〈●〉(おん※口の右に奄)
  •  師資相承/玄牝/十二因縁
  •  四諦/三学/六度
  •  諸教帰一/禅心/三昧と神通
  •  不浄観と安般念〈数息観〉/禅観/人生の四期
  •  バラモン階級の行き詰まり

第二章 釈迦が徹見したダルマ〈法〉

  •  釈迦の大悟/階級の否定/釈迦の達観
  •  佛法と王法/釈迦の本領/ダルマ〈法〉
  •  三欲・五濁/劫濁/衆生濁・命濁
  •  煩悩濁の五濁/見濁五見/釈迦佛教の大眼目

第三章 大乗と小乗││「大学」と「小学」

  •  拈華微笑/三蔵の結集/大乗と小乗
  •  小乗の形式主義/上求菩提・下化衆生/出家道に徹する小乗
  •  聖徳太子の英断/釈迦の神聖化/釈尊を心の中に生かす
  •  灰身滅智/心の自在三昧こそ涅槃/「大学」と「小学」
  •  声聞・縁覚・菩薩/諸法空相/般若経
  •  諸法実相/即身成佛/小乗の悟力
  •  一乗妙法/須弥山説/四天王
  •  天主閣/有頂天

第四章 佛教と老荘思想

  •  佛教伝来時の中国社会/現実逃避/黄崖教の乱
  •  桃源郷/竹林の七賢/安世高・支讖・康僧会
  •  曇摩迦羅・朱士行/竺法護・佛図澄

第五章 梁の武帝の狂信

  •  魏晋南北朝時代/五胡十六国/玄儒文史
  •  梁の武帝/武帝の狂信/梁の滅亡
  •  六朝文化人の弱点/歴史は将来を暗示する/佛教の功徳

第六章 達磨の正覚││二入四行論

  •  自己と真理の冥符/報冤行/随縁行
  •  無所求行/称法行/達磨禅の後継者
  •  学問上の随縁行

第七章 禅と老荘

  •  「易」の思想/時中/「陽」を建前とする儒教
  •  「陰〈統一・含蓄〉」を建前とする老荘/玄徳/黄色の神秘
  •  老荘流人間完成の九段階/老荘流の考え方
  •  老荘流の政治家・庚桑楚/双葉山と木鷄
  •  聖道門と浄土門/難行道と易行道

第八章 木鷄と木猫││禅の要諦

  •  木鷄/男谷精一郎/木猫
  •  道器一貫/主一無適/庖丁の話

第九章 東洋文化の本源││「天」の思想

  •  「遊」の思想/「優」という字/法の意義
  •  天の思想/玄牝/天人合一
  •  万法帰一/人心は天心/本当の人間ほどつぶしがきく
  •  東洋的人格論/道を忘れて器に走る/職業教育の弊害
  •  公、卿、大夫の職責/撥乱反正/創業垂統
  •  継体守文/因循姑息/撥乱独裁
  •  ヒットラーとムッソリーニ/国民政治の四患「偽・私・放・奢」
  •  生命衰退の原理/佛教・老荘・儒教の合流

第十章 末法の世の民衆佛教││三階級と地蔵信仰

  •  機慧・敏慧/総持/曼陀羅/信行と三階教
  •  地蔵信仰/地蔵の十益/常不軽菩薩行
  •  末法の世の佛法/白蓮教/一燈照隅

第十一章 儒教の真精神││隋の文中子

  •  王通〈文中子〉/名、字、諱、諡の区別
  •  王通の父〈王伯高〉/隋の文帝/儒教の生命
  •  至公血誠/天下を以て一民の命を易らず/房杜・姚宋
  •  数/主に仕える難しさ/遠ざけて疎んぜず、近づけて狎れしめず
  •  三有七無/政治家の資格/非義を卜せず
  •  儒教の真面目/聖道門と浄土門/諸教帰一

第十二章 達磨正伝の禅風〈I〉

  •  唐の太宗/中国の三大帝王/達磨の真骨頂
  •  無生法忍三昧/如来と如来蔵/三十二相
  •  即身成佛/転輪聖王/二祖慧可
  •  万法一如、身佛無差別/三祖僧粲/四祖道信
  •  五祖弘忍/六祖慧能/偈
  •  慧能の偈/獅子岳快猛/曹洞宗
  •  南頓北漸/禅の変化

第十三章 達磨正伝の禅風〈II〉

  •  教外別伝・不立文字の真意/無相の智慧/実存即菩提
  •  直心/瀉瓶/頭陀派と教化派
  •  野狐禅/神秀と慧能/荷沢神会

第十四章 禅と則天武后

  •  稀代の女傑/婦徳の典型・文徳皇后/残虐な計略
  •  天皇・天后/狄仁傑/則天大聖皇帝
  •  武后の淫虐/棒・喝の始まり/北宗の不運
  •  宮廷クーデター/唐王朝の腐敗/頽廃の中の篤信

第十五章 六祖慧能の禅

  •  六祖壇経/佛は人間〈吾〉を超越した存在ではない
  •  無相と無念/一行三昧

第十六章 禅の真髄││百丈懐海

  •  石頭希遷/頼山陽、橋本左内、幸徳秋水の例/青原行思
  •  南岳懐譲と馬祖道一/馬祖の「喝」/平常心是道
  •  百丈懐海/独り大雄峯に坐す/一日不作、一日不食
  •  不落因果、不昧因果/禅修行の組織化/安禄山の乱

諸教は帰するところみな同じ