「きたない子育て」はいいことだらけ!

「きたない子育て」はいいことだらけ!
丈夫で賢い子どもを育てる腸内細菌教室

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人間の体の内外に棲み着いている微生物、「マイクロバイオータ」の研究が進むにつれて、子どもの時期に微生物に接することが何よりも大切だということがはっきりしてきた。
子どもの生活環境が人類史上かつてないほどに清潔になっていることが、マイクロバイオータと、生涯にわたる健康に、大きな打撃を与えている。

四六 判( 368 頁)
ISBN: 9784833422536

2017年11月15日発売 / 1,870円(税込)

[著]ブレット・フィンレー(B. Brett Finlay, PhD)
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学教授。バクテリア感染に関する世界的権威。30年に及ぶ微生物研究で、450本の論文を発表する一方で、バイオテクノロジーベンチャーの Inimex、Vedanta、Microbiome Insightsの創業者でもある。カナダの民間人が受けることのできる最高位の勲章、Order of Canadaの受勲者。バンクーバーで小児科医の妻と暮らす。成人した子どもが2人いる。

[著]マリー=クレア・アリエッタ(Marie-Claire Arrieta, PhD)
かつてフィンレーの研究室に在籍し、現在はカナダのカルガリー大学准教授。腸内細菌と免疫についての研究者。最近の乳児のぜんそくと重要腸内細菌群欠如についての研究は、2015年にこの分野のブレークスルーとして注目され、世界中のメディアで取り上げられた。これまでに Gastroenterology、PNAS、Science Translational Medicineなど、主要な学術誌に論文を発表している。2児の母親。

[訳]熊谷玲美 (くまがい・れみ)
東京大学大学院理学系研究科修士課程修了。主な訳書に、ティム・スペクター著『ダイエットの科学』(白揚社)、アーサー・ベンジャミン著『数学魔術師ベンジャミンの教室』(岩波書店)、スティーヴン・コトラー著『超人の秘密』(早川書房)などがある。

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目次

はじめに

第1部 わたしたちは微生物でできている

1章 微生物と触れ合う子どもたち

微生物との戦い――勝利の代償
微生物の報復
農場育ちの子どもは病気知らず
清潔すぎる世界
▼バブル・ボーイ

2章 ヒト・マイクロバイオームとは何か

目に見えない生命
伝染病のイメージ
進化のパートナーとしての微生物
個性あふれるマイクロバイオータ
免疫細胞のブートキャンプ
マイクロバイオームと代謝
▼穴居人ダイエット

第2部 子育てと微生物

3章 妊娠――何を食べるべきか

妊娠中の食事が大切なもう一つの理由
膣のマイクロバイオータ
ストレスと赤ちゃんと微生物
感染症と抗生物質を両方避けるには
抗生物質を賢く使う
B群レンサ球菌感染症の予防
細菌は生まれる前の赤ちゃんにも影響する?
▼妊娠中に土を食べたくなったら?

4章 出産――微生物にまみれてこんにちは

練りに練った計画
帝王切開の流行
きたない出産はよい出産
微生物を「植え付ける」
出産時の抗生物質使用
未熟児の壊死性腸炎を防ぐ
▼帝王切開大国ブラジル

5章 母乳と微生物

未成熟なまま生まれる人間の赤ちゃん
微生物にエサをやる
乳腺炎にはプロバイオティクス
母乳育児ができない場合
帝王切開後の母乳育児
▼帝王切開後の母乳育児を成功させるには

6章 離乳食  健康人生を決める食習慣

新しい食べ物と新しい微生物
微生物多様性のメリット
どんな離乳食をいつから始めるか
食物アレルギーとの付き合い方
▼世界の赤ちゃんが初めて食べるもの

7章 抗生物質  マイクロバイオータへの絨毯爆撃

抗生物質のパラドックス
20世紀の奇跡の薬
スーパー耐性菌の登場
「ママー、耳が痛い!」
奇跡の薬の魔法が消える
抗生物質と一緒にプロバイオティクスを摂るべき理由
▼バナナ味の抗生物質

8章 ペットを味方につける

赤ちゃんとイヌ
野生の世界から居間のソファーへ
よだれ祭りへようこそ
▼チワワでぜんそくが治る?

9章 「清潔習慣」病が子どもを弱くする

自然に飢える子どもたち
清潔すぎる時代
Q&A どこまできれいにすればよいですか?

第3部 微生物と病気

10章 肥満――現代の流行病

体重とマイクロバイオータの関係
太ったマウス
マウスと人間
マイクロバイオータ・ダイエット
抗生物質と子どもの体重
栄養失調にも微生物がかかわっていた
神経性食欲不振症(拒食症)
▼5210ダイエット

11章 糖尿病――子どもの患者が増えている

世界中で3億8000万人
妊娠糖尿病
血糖値の自己測定とインスリンポンプ
3歳で2型糖尿病を発病する子も
▼微生物に薬を飲ませよう

12章 腸の病気――腸にとって受難の時代

腸の「広さ」
泣き続ける赤ちゃん
グルテン由来のセリアック病
過敏性腸症候群(IBS)
炎症性腸疾患(IBD)
▼糞便移植がうまくいく秘策

13章 ぜんそくとアレルギー――微生物が呼吸を楽にする

ぜんそくの思い出
犯人は誰だ
腸から肺へ
アトピー性皮膚炎も?
▼アレルギーを起こす食品とどう付き合うか

14章 マイクロバイオータと脳

ボトムアップで考える
悪いのは微生物
微生物と気分
ストレス、うつ病、不安
自閉症スペクトラム障害
注意欠陥/多動性障害(ADHD)
脳の機能を高める
▼脳によい食べ物

15章 ワクチンに対する正しい理解

魔法が消えた魔法の国
感染症の悪夢
ワクチンとマイクロバイオータの関係
▼拡散し続ける「インチキ研究」

16章 微生物を薬に

未来の医師との会話
マイクロバイオームを理解する
マイクロバイオームの分析法
遺伝子の先にあるもの:細菌代謝物
第2世代プロバイオティクス
プレバイオティクス
糞便移植の可能性
人工腸内微生物を移植する
製薬企業、バイオテクノロジー企業の取り組み
オーダーメイドのダイエット
▼ウンチとクロストリジウム・ディフィシルの戦い

謝辞

参考文献