わが子を「居心地の悪い場所」に送り出せ

わが子を「居心地の悪い場所」に送り出せ
時代に先駆け多様なキャリアから学んだ「体験的サバイバル戦略」

大きく急激な変化の波を乗りこなしチャンスにしたい人とお子さんの可能性を広げ未来を輝かせたい親世代に贈る
「デジタル&グローバル」社会で一生困らない生き方・育て方の指南書

2020年度から、急速な技術革新、とりわけデジタル・テクノロジーの進化とそれがもたらすグローバリゼーションという変化の時代を生きていく子どもたちに必要となる資質や能力を育むことを目的とした教育改革がスタートします。
新学習指導要領の実施に伴う、小学校からの英語やプログラミング教育の導入、大学入試では、「大学入試センター試験」に代わり、従来の知識・技能重視から思考力・判断力・表現力なども加えた、より多面的・総合的な能力の評価や、「聞く・読む」だけでなく「話す・書く」も加えた英語の4技能の評価を目指す「大学入学共通テスト」が導入されます。

一方、バブル崩壊以降の日本の競争力の低下や超高齢・人口減少社会の到来に伴う財政危機などを自らの職業人生の中で身をもって実感してきた親世代、これから長い人生を生きていく若い世代の方々は、将来、社会、企業のあり方や個人の生き方・働き方はどう変化していくのか、そこで生き抜いていくために必要な能力とは何か、どのようにすればそれを身につけられるのかについての答えを模索しているのではないでしょうか。

本書は、いま世界規模で起こっている大きな変化とその背景や本質、その中での日本の現状を紐解きながら、これから起こることを大胆に予測、その中で生き抜いていくために必要な「7つの能力」と身につけ方の指南書です。

マッキンゼー、MBA取得、外資系メーカー・商社、日本のITコンサルティングファームと、主体的にキャリアをチェンジしながら「デジタル&グローバル」な社会を第一線のビジネスパーソンとして駆け抜け、現在は大学教授として、「デジタル技術の革新と融合したグローバル化」がもたらす国家、企業、個人の間でのパワーシフトとその影響を研究しながら、若い世代を支援する著者が、自らの体験とそこから導き出された知見を注ぎ込みました。

四六 判( 288 頁)
ISBN: 9784833423175

2019年04月12日発売 / 1,650円(税込)

[著]小笠原 泰(おがさわら・やすし)
明治大学国際日本学部教授、トゥールーズ第1大学客員教授
1957年、鎌倉市生まれ。東京大学文学部卒、シカゴ大学社会科学大学院国際政治経済学修士・同経営学修士。
マッキンゼー&カンパニー、フォルクスワーゲンドイツ本社、アグリメジャーの1社、カーギルミネアポリス本社、同オランダ、イギリス法人勤務を経てNTTデータ経営研究所へ。
同社パートナーを経て2009年4月より現職。静岡大学大学院工学研究科事業開発マネジメント専攻客員教授、NTTデータ経営研究所顧問、OECD、CFA(租税委員会)FTA Tax e-auditグループ委員なども務める。
主な著書に『CNC ネットワーク革命』(共著、東洋経済新報社)、『日本的改革の探究 』(日本経済新聞社・現在は日本経済新聞出版社)、『なんとなく、日本人』(PHP新書)、『日本型イノベーションのすすめ』(共著、日本経済新聞出版社)、『2050 老人大国の現実』(共著、東洋経済新報社)、『没落する日本 強くなる日本人』(さくら舎)などがある。

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目次

はじめに わが子の生存確率を高めるために親がやるべきこととは

1 わが子が生きていく未来、世界、そして日本はどんな姿をしているのか

第1章 「デジタル・テクノロジ革新に主導されるグローバル化」という現実

  •  変化に適応できなければ敗者となる
  •  「グローバル化」は「国際化」ではない
  •  「グローバル化」は「進歩」ではなく「進化」である
  •  「グローバル化」の本質とは何か
  •  国家の力は低下、企業や個人の力は上昇
  •  インフラとプラットフォームの違いとは
  •  もう国には頼れない
  •  過去の延長線で未来は語れない

第2章 世界での存在感が低下、「内向き」になりつつある日本の社会

  •  稀勢の里は日本人横綱待望論の犠牲者
  •  ガイジン、ハーフ、ニホンジン
  •  白鵬に国民栄誉賞を
  •  硬直的な法律・制度と超高齢化が変化への適応を阻害する
  •  コンシューマ、ワーカ、インベスタとしての個人を考える
  •  ソクラテスとなるか、アリストテレスとなるか
  •  自分にどんなセンスがあるかを探し出す
  •  自己を相対化し、他者との差異を意識する

2 世界を舞台に生き抜いていくためにどんな能力を身につければいいのか

第3章 変化やリスクに対する耐性――日本人といない時間をつくる

  •  「居心地の悪い」環境に敢えて身を置いてみる
  •  1人で海外で暮らす経験をする
  •  リスク管理の癖をつける
  •  ダイバーシティの本当の意味を知っていますか
  •  他人と違って何が悪い
  •  クレバーでなくスマートになる

第4章 競争を面白がり成長を求める姿勢――何事も「楽しく」ではなく「面白く」

  •  留学生の目に映る日本の社会とは
  •  「ネバーランド・日本」の従業員になる覚悟はあるか
  •  皆で貧しくなれば怖くない?
  •  何事も面白くする工夫をする
  •  良い競争、悪い競争

第5章 「課題」を発見し解決するマインド――テクニークやハウツーは害になる

  •  重要なのは「内容」であり「やり方」ではない
  •  「正解は一つ」の時代は終わった
  •  テクニークとハウツーでは真の実力はつかない
  •  大切なのは課題を発見し定義すること
  •  「課題発見の能力」を高めるために必要な8つの力

第6章 ゼロベースで自分の頭で考える習慣――常に「なぜ」「どうして」と自問する

  •  「主体的に考える」という奇妙な表現
  •  「考える」と「思う」を考える
  •  「思う」から「考える」へ転換できるのか
  •  「考える」は「力」か「習慣」か
  •  疑念を呈することを歓迎しない日本社会
  •  国語教育の抜本的改革が必要な理由
  •  「考える」癖をつけるための毎日の習慣

第7章 「ギロン」する能力――相手の異なる意見を認めることから始める

  •  日本人は「こころ優しい」ので議論が苦手?
  •  議論は定義することから始まる
  •  相手の異なる意見を認めることが出発点
  •  日本の「ギロン」の特殊性を認識する
  •  日本の「ギロン」は対話でなく独白の連鎖
  •  欧米で「全会一致」の結論が否定される理由
  •  「われわれ」という言葉は意識して使わない

第8章 コミュニケーションを取る能力――粘り強く言葉で説明しようとする姿勢

  •  「Communication」のそもそもの意味
  •  「Communication」と「コミュニケーション」は異なる
  •  異質な環境に身を置くことで磨かれる
  •  言葉で説明しようとする粘り強さ、諦めない姿勢

第9章 英語は使いながらモノにする――第2の思考形態の習得と心得る

  •  話すのは苦手だが、書くのは得意?
  •  英語の習得は好き嫌いの問題ではない
  •  伝えるべき意見や主張を持たない日本人
  •  英語はツールではない
  •  英語の習得は第2の思考形態の習得である
  •  英語をモノにするための3つの「やってはいけない」
  •  英語を面白くするために必要なこと

3 「自分の得意」を磨き続け、多様な人々と協力しながら自らの人生を切り開くために何が必要か

第10章 当事者意識を強く持つ――「努力する」より「才能を試す」

  •  より多くの人がチャンスを見いだせる時代になる
  •  変わりたくても変われない日本
  •  これからは企業に帰属するのではなく参加する
  •  自分で考えて判断し行動に移す癖をつける
  •  大切なのは、いかに他者と違っているか

おわりに わが子の可能性を広げ「開かれた未来」にするために