シン・サラリーマンの心療内科

シン・サラリーマンの心療内科
心が折れた人はどう立ち直るか

「コロナは事実上、全世界の人々を人質にとった。人は逃げるに逃げられない。この不安な状況は、ある種の精神病に陥った人々が感じる不安と同質のものである。」(本書より)

生命の危機、経済破綻……。病院に列をなす人々が直面する「カオスの縁」を現役の精神科医が明かす。

都心から少し離れた街中の心療医院に、毎日驚くほど多くの“悩める人々”が訪ねてくる。現代文明によって生み出され、ネット依存やコロナ禍で増幅される、その「不安」の正体とは?
「コロナうつ」と闘う精神科医が、現場から報告する魂の救済ドキュメント。月刊『FACTA』の好評連載、待望の書籍化!

四六変型 判( 188 頁)
ISBN: 9784833423816

2020年09月11日発売 / 1,540円(税込)

[著]遠山 高史(とおやま・たかし)

1946年生まれ。精神科医。桜並木心療医院院長。
千葉大学医学部卒業後、医療法人博道会館山病院精神科長、茂原保健所長、千葉県精神科医療センター診療部長・センター長などを歴任。
2012年には24時間対応の精神科救急の仕組みづくりに尽力してきたことが認められ「医療功労賞」を受賞。
2014年桜並木心療医院を開設し院長に就任。精神医療の現場に立ち会う医師としての経験を生かし、雑誌『選択』『FACTA』等にエッセイを連載。
著書に『ビジネスマンの精神病棟』(JICC出版局、のちちくま文庫)、『医者がすすめる不養生』(新潮社)、『素朴に生きる人が残る』(主婦の友社)など。

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目次

はじめに 新型コロナで増加する強迫性障害

第1章 心療医院に列をなす“悩める人々”

 精神科医になるしかなかった

 課長の心の底に巣くう「鬼」

 「安心安全」がうつ病を生む

 飢えを知らない「ゲーム少年」

 朝焼けと夕焼けの「赤」は違う

 均一な住宅街は生きづらい

 幼稚な選良が生まれる理由

 集団の結束を高める“最適なサイズ”

第2章 「共感力」が育たない社会

 「ノー」と言えぬ若者の自我

 「土の匂い」がしなくなった日本人

 「離散的社会」の孤独な少女たち

 未来を言い当てる統合失調症者

 終電の席を奪ったゲーム青年

 電子化が面倒な仕事を作る

 「情報過多」時代が作る不安神経症

 「バナナの皮」で不安に駆られる女

第3章 他者の不在が自我肥大を招く

 先輩が怖くて仕事に行けぬ20代保育士

 文明が生む予測不能な攻撃者

 『めぞん一刻』の幸せな瞬間

 「ストーカー少年」の精神鑑定

 小泉八雲の「雪女」のような娘

 「こまめな運動」が認知能力を鍛える

 「荒海とヨット」のエクスタシー

 「何でも検索」は間違いの元

第4章 免疫力を低下させる不安の源

 睡眠負債のSEに2万通のメール

 コミュニティーの喪失が自殺をもたらす

 患者をマイクで呼ばない理由

 燕の雛はなぜ「5羽」なのか

 澄みすぎる水は住みにくい

 「茶色いバッタ」が減っている

 他罰の風潮が生む??罪

 人間よりも律儀だった「人食い鬼」

第5章 カオスからの使徒、コロナウイルス

 現実的交流のない「セル」の住人

 「死にたい願望」に囚われる少女

 ネット依存では多様性を捉えきれない

 『生物都市』が物語るAIの恐怖

 「パニック障害」急増の主因

 自然の「結界」を破った人類

 齢73歳「布製マスク作り」の教訓

 集団は「見えざる免疫」を生む

おわりに