図解 トヨタがやらない仕事、やる仕事

図解 トヨタがやらない仕事、やる仕事
変わり続けるトヨタの変わらない仕事術

2023年1月末、トヨタの新体制が発表されました。13年間、社長を務めた豊田章男社長が会長になり、新しい社長には佐藤恒治さんが就きます。翌月には初めての記者会見が行われました。佐藤新社長をはじめとする幹部5人が出席したのです。
記者会見の中で、あるジャーナリストが「サプライヤーについてお聞きしたい」と質問しました。すると、その瞬間、佐藤新社長の顔が曇ったのです。質問を引き取った幹部は社長の気持ちを察して、すぐに「仕入れ先様のことですね」と言い直しました。横にいた佐藤新社長はほっとした表情になり、深くうなずいていました。
トヨタはリスペクトの会社です。つねに相手をリスペクトするのです。ですからトヨタでは「下請け、サプライヤー」という呼称は使いません。「仕入れ先様」です。
トヨタはチームワークの会社です。現場では社員もアルバイトも仕入れ先も販売会社もありません。ひとつのチームです。チームに属する人間はそれぞれの仲間をリスペクトして仕事をしています。人はリスペクトされていると感じればその人を幸せにするために働きます。トヨタが言う幸せの量産は相手をリスペクトするところから始まるのです。

この本はトヨタの幹部、現場社員10人にインタビューしたことが基礎になっています。さらにわたしが12年間、取材してきた中で目にした事実から考えたことを書きました。いずれも新入社員や若い社員が仕事で結果を出すための技術の数々であり、役に立つことばかりです。

A5 判( 240 頁)
ISBN: 9784833424967

2023年03月31日発売 / 1,760円(税込)

[著]野地 秩嘉(のじ・つねよし)
1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュをはじめ、ビジネス、食や美術、海外文化などの分野で活躍中。『TOKYO オリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。『キャンティ物語』『サービスの達人たち』『高倉健インタヴューズ』『トヨタ物語』『スバル ヒコーキ野郎が作ったクルマ』『日本人とインド人』『京味物語』『警察庁長官 知られざる警察トップの仕事と素顔』、近刊に『伊藤忠 財閥系を超えた最強商人』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。

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目次

  • はじめに

  • 第1章 トヨタの会議・打ち合わせ

  • ×成果発表の会議 ○問題発表の会議

  • ×意味もなく短い会議 ○体感時間が短い会議

  • ×やみくもに時間短縮 ○カイゼンして時間短縮

  • コラム 方針とカイゼン

  • ×会議で情報共有 ○会議前に情報共有

  • ×早口で話す ○わかりやすく話す

  • ×雑事を適当にこなす ○雑事を本気でやりきる

  • コラム 「オレは聞いていないぞ」と言う上司こそがムダな存在

  • ×つねに日時を決めて報告・相談 ○時にはエレベーターで報告・相談

  • ×完璧に準備してから行動 ○行動しながら修正

  • ×現場から情報をもらうのみ ○現場へ行って自分で確かめる

  • ×文字だけのプレゼン ○写真や動画で現場を再現したプレゼン

  • ×普通に準備する ○準備を徹底する

  • 第2章 トヨタのコミュニケーション・思考術

  • ×「業者」と呼ぶ ○「仕入れ先様」と呼ぶ

  • ×やたらと長い書類 ○ひと目で全体がわかる書類

  • ×原因だけを追求 ○真因を追求

  • ×「処置」で終わらす ○「対策」で再発防止

  • ×結論重視 ○要因解析重視

  • ×すぐに設備カイゼン ○まずは動作カイゼン

  • ×定型の資料を定期的にメールする ○相手のタイミングに合わせてメールする

  • コラム 誰でもできる「相手に届くメールの送り方」

  • 第3章 新事業KINTOに見る問題解決のやり方

  • ×「初心を忘れるな」と言い続ける ○つねに新規事業を立ち上げる

  • ×宣伝するのみ ○とにかく仲間を増やす

  • コラム トヨタのEV

  • ×会議室で考えた企画 ○現場(使う人)で考えた企画

  • ×自分の立場の視点で働く ○1?2階級上の視点で働く

  • ×むりなのに続ける ○「むり」と思ったらあきらめる

  • 第4章 トヨタの教育・思想

  • ×一方的に教える ○できる限り対話重視

  • ×部下の間違いを自分で直す ○何度も部下に考えさせる

  • コラム トヨタの教育

  • ○注意はふたりきりで ○褒めるのは第三者経由で

  • ×条件でしばる ○条件をはがす

  • ×「頑張れ」 ○「頑張るな」

  • ×作ってから相談 ○やわらかい状態で相談

  • ×成功体験を真似する ○成功体験を疑う

  • ×ルールを形式的に守る ○時には新たなルールを作る

  • ×やみくもに問題を探す ○わざと不安定にして問題を炙り出す

  • ×口だけで「その作業はムダ」と伝える ○流れ図を見せてムダな作業を省く

  • ×ただきれいにするための掃除 ○製品を汚さないための掃除

  • コラム トヨタの工場

  • ×生産性向上のために働く ○他の誰かのために働く

  • ×目先の利益にとらわれる ○長期的な利益を考える

  • ×ザ・トヨタ生産方式 ○つねに変化するトヨタ生産方式

  • あとがき