今日はぶどうパン

今日はぶどうパン

台所で、街角で、旅先で。
味の背景には思いもかけない世界が広がっている。

食の雑誌「dancyu」の人気エッセイが本になりました。

四六 判( 204 頁)
ISBN: 9784833450676

2014年10月30日発売 / 1,650円(税込)

[著]平松洋子(ひらまつようこ)

エッセイスト。1980年東京女子大学文理学部社会学科卒業。
主著に『買えない味』(筑摩書房 第16回bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)、『野蛮な読書』(集英社 第28回講談社エッセイ賞受賞)、『おもたせ暦』『おとなの味』『夜中にジャムを煮る』『焼き餃子と名画座』(以上、新潮文庫)、『なつかしいひと』(新潮社)、『サンドウィッチは銀座で』(文春文庫)、『ステーキは下町で』(文藝春秋)、『小鳥来る日』(毎日新聞社)、『ひさしぶりの海苔弁』(文藝春秋)、『本の花』(本の雑誌社)など多数。

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目次

これも味のうち

乾かす 美味を招く変化
挟む 知恵と工夫の産物
噛む いいことずくめ
絞る 手加減ひとつ
切り口 緊張の一瞬
薄める 濃度を操縦する
浸す 思うさまどっぷりと
赤い 日本人のハレの印
しずく これも味のうち

おいしさのタネ

ちくわ、かまぼこ じんわり粘り強い
すじ 肉の屋台骨
炒り卵 食卓の太陽
揚げもの パワースポットのオーラ
ソース、ケチャップ うっすら緊張する
種 神秘の結晶
パンの耳 ひそかな宝物
干しぶどう 今日はぶどうパン
かたまり 解放のかたち
一升瓶 汲めども尽きぬ泉
お宝 ちょっとやっかい
みかん 神々しくて、うぶ

そこにあるもの

ストロー いつも悩ましい
ひも  生活の友
ペットボトル マラカスにもなる
手付き あるとなしでは大違い
緩衝材  籾殻がなつかしい
台ふきん とにかく揉み洗い
手袋  ふたつでひとつ
ショーケース この世の曼荼羅図

だから気になる

店長 店長はすごいよ
おおきい ちいさい  人生の一大事
爪 感情を刺激する
棘 針以上の痛み
記憶 こころのなかで呼吸している
負ける 達人の必殺技
満腹 生きていてよかった

待ちぼうけの丼

出前 待ちぼうけの丼
行列 みんなで一致団結
チラシ 世間というカオス
草 生命の根源
墨 闇の味
迷う 人生のY字路
夕焼け 一瞬の祭事
路地 街の廊下
時間待ち それも味のうち
めまい くるくるの恍惚