安倍晋三の憲法戦争

安倍晋三の憲法戦争

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七十年目の「改憲政戦」の実相を探る

四六 判( 304 頁)
ISBN: 9784833451062

2016年10月17日発売 / 1,760円(税込)

[著]塩田潮(しおた・うしお)

1946年、高知県吾川郡伊野町(現いの町)生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。雑誌編集者、記者などを経てノンフィクション作家に。『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『大いなる影法師』『昭和の教祖 安岡正篤』『金融崩壊』『田中角栄失脚』『憲法政戦』『権力の握り方』『復活! 自民党の謎』『東京は燃えたか―東京オリンピックと黄金の1960年代』『内閣総理大臣の日本経済』などがある。

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目次

序章 改憲案発議が可能に

「賢明な国民」の「絶妙の判定」/審議開始から国民投票までの時間/天皇の「生前退位」と憲法/安倍晋三の「改憲政戦」

第一章 祖父・岸と父・晋太郎

政策は祖父似、性格は父似/獄中で知った新憲法施行/憲法改正で政界再編を狙う/経済よりも外交や治安を/安保改定は歴史が判断してくれる/「平和憲法を守る」と佐藤栄作/岸の退陣勧告と「角福戦争」/「もう一人の祖父」安倍寛/プリンスメロンの反骨精神/「晋三さんは剛直で一直線です」/政治家に努力賞はない

第二章 「改憲が党是」の自民党

憲法改正案を下地から書く/保守合同の舞台裏/「改憲が党是」はやや誇張/戦後保守政治の四つの潮流/歴代首相に受け継がれた憲法運用論/「戦後のタブー」に挑む中曽根/中曽根と宮沢の憲法論争/「改憲的護憲論」と「護憲的改憲論」

第三章 二つの自民党憲法案

在任中は憲法改正には手を付けない/小泉の「神学論争はやめよう」/結党五十年に自民党の改憲案を/理念派と現実派の対立/影を落とした郵政民営化/「和をもって貴しとせず」/小泉流「実用的改憲論」/「日本国憲法改正草案」発表/「改正草案」は公明党に配慮した/自民党の改正草案は中身が熟していない

第四章 迷走の第一次安倍内閣

「任期中に改憲」と打ち出した安倍首相/歴代政権は法整備に手を付けなかった/国民投票法は整備したほうがいい/首相は改憲には権能も権限もない/年金問題で参院選大敗

第五章 つまずいた改正要件緩和

政権再奪取で改憲挑戦/「変えられない憲法」の壁/「憲法九十六条」誕生の謎/九十六条先行改正は裏口入学/つまずいた九十六条先行改正/安倍のもう一つの誤算/一三年の参院選で自民圧勝

第六章 憲法解釈変更作戦

岸譲りの「対等の日米関係」/内閣法制局が憲法解釈を主導/憲法解釈は変更できるのか/テロ対策特措法の成立/今や自公関係は生命維持装置/最高責任者は私」と安倍答弁/「オバマの確約」という援軍/最大の壁は国民世論/解釈変更と憲法改正の関係/公明党との合意を優先/自公の「薄氷の合意」

第七章 集団的自衛権行使の道

「一石六鳥」の戦略/胸に刻んだ二つの「失敗の教訓」/増税延期とアベノミクスの成否/改憲は歴史的チャレンジ/憲法学者が「安保法案は憲法違反」/改憲にらんだ二段構え作戦/真夏の五十四日間の攻防

第八章 改憲政党・橋下維新

自公と改憲支持勢力で/結党以来の三本柱/「ドリームチーム」のキャプテン/大阪都構想と官邸介入の影/「負けは負け」と橋下引退/橋下維新の改憲原案/「小さな政府」を志向/統治機構改革にゼロ回答

第九章 幻の衆参同日選挙

衆参同日選が可能な七月十日/「同日選は与党大勝」が定説化/法の下の平等と一票の重み/参院選二連勝が必須/「安倍による安倍のための同日選」に/「再延期はしない」は公約違反/権力の握り方と使い方/熊本地震で同日選見送り/菅官房長官がブレーキを

終章 七十年目の「憲法戦争」

「無選挙の二年二ヵ月」で改憲挑戦/「幸運の十二月総選挙」を仕掛けるか/「改憲総選挙」か「もう一つの同日選」か/憲法問題は自公連立合意の枠外/維新との憲法観の相違/拒否反応が強い「九条改正」/直接投票と民主主義の関係/「全面改正不可」採用の狙い/改憲首相の「憲法隠し」/安倍改憲案と自民党の「改正草案」/「実を捨てて名を取る」か/「民意の壁」を越えられるか

あとがき

主な参考資料

憲法をめぐる動き(年表)/憲法審査会・会長/自由民主党憲法改正推進本部・本部長/自由民主党・公明党連立政権合意/各党の憲法政策(自民党・民進党・公明党・日本共産党・日本維新の会)