認知症パラダイムシフト

認知症パラダイムシフト
究極の「n=1」を創造するケアメソッド

ここに認知症ケアの“納得解”がある!

高齢者5人に1人が認知症になる時代、今ここで真剣に向き合う必要がある。
認知症に関わるすべての人に知ってもらいたい“認知症ケアメソッド”の考え方が明かされる。

認知症ケアはこれという絶対的な正解のない「n=1」を積み上げ続けなければなりません。また、感性が問われる仕事です。
そして、感性とは習得するものでなく、自ら磨き上げていくものです。よりよい認知症ケアを求めて、私自身はもちろん、豊泉家の介護スタッフも、地道なケアの実践を続けながら感性を磨き続けていきたいと考えています。一人でも多くの認知症を有する方が穏やかに暮らせる、そんな認知症パラダイスの実現を目指して――。
(「おわりに」より)

※本書は、前著『認知症イノベーション~一人ひとりの“パラダイス”を創造するケアメソッド〜』をさらに発展させたものであるため、前著の内容を加筆・修正し掲載している箇所があります。

四六 判( 268 頁)
ISBN: 9784833452199

2023年03月31日発売 / 1,760円(税込)

[著]阿久根 賢一(あくね・けんいち)
豊泉家ヘルスケアグループ 社会福祉法人 福祥福祉会 理事長
社会福祉士・介護支援専門員
1976年生まれ。龍谷大学大学院社会学研究科社会福祉学専攻修士課程修了。
高校生の時に同居していた祖母が認知症を発症。その進行を目の当たりにし、看取りを経験したことをきっかけに大
学で社会福祉学を専攻。卒業後、高齢者施設を運営する社会福祉法人や医療法人にてソーシャルワーカーとして勤務。2002年、社会福祉法人福祥福祉会が特別養護老人ホームを開設したことに伴い、同法人にソーシャルワーカーとして転職。その後、施設長、運営本部長、副理事長を経て、2017年より現職。

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目次

  • はじめに

  • 第一章 5人に1人が認知症の時代へ

  • もしかしたら、こんな言動も認知症のサインかも?

  • 85歳を過ぎれば2人に1人が認知症に

  • ▼「重老齢社会」で注目される認知症

  • ▼誰もがなり得るコモンディジーズ

  • 代表的な4大認知症

  • ▼認知症は「病名」ではなく「状態」のこと

  • ▼脳の萎縮が徐々に進む「アルツハイマー型認知症」

  • ▼まだら認知症や感情失禁を招く「脳血管性認知症」

  • ▼幻覚や妄想などの症状がみられる「レビー小体型認知症」

  • ▼人格の変化や行動・言語の障害が起こる「前頭側頭型認知症」

  • ▼複数の認知症を発症する「混合型認知症」

  • ▼物忘れなどがみられる認知症予備軍「MCI」

  • ▼加齢による物忘れと認知症の違いは?

  • 知っておきたい中核症状と周辺症状とは?

  • ▼2つに分けられる認知症の症状とは?

  • ▼症状は千差万別。だからパーソナルなケアが求められる

  • 認知症の増加が社会に与えるインパクト

  • ▼認知症対策で膨れ上がる社会的コスト

  • ▼介護離職の増加は、企業にとって大きな痛手

  • ▼徘徊などで行方不明になる高齢者も

  • ▼拡大する認知症関連市場

  • ▼「認知症は恥ずかしい」という考えは大間違い

  • 治る時代は来るのか~治療の未来を考える

  • ▼治療・改善薬やケアの手法も開発が進む

  • ▼今こそ望まれる認知症ケアの革新的メソッド

  • Column01 海外の“認知症村”事情

  • 第二章 新たな認知症ケアを知る

  • 家族が陥りがちな“負のスパイラル”とは?

  • ▼何度も同じことを聞かれて、ついイライラ……

  • ▼支援が介護する側の押し付けになることも

  • ▼過去のイメージから脱却できない

  • ▼認知症でも新しいことを覚える場合がある

  • ▼その時々の納得度合いは表情から推し量る

  • 介護職がはまりやすい“こうあるべきケア”

  • ▼できることより、できないことに目が行ってしまう

  • ▼それぞれの人が輝く場面をどうつくっていくか

  • “常識”をつくり出す3つの「思考のクセ」

  • ▼無意識の作用でバランスを欠いたケアに

  • ▼介護者のストレスの元凶にもなり得る

  • ▼パラダイムシフトへの1st STEP――メンタルモデルに気づく・知る

  • ▼「視点」「視野」「視座」を意識する

  • ▼言葉と行動が一致しない介護の「あるある」

  • これまでの認知症ケアは間違っていた!

  • ▼手づかみで食べる山本さんが与えてくれた気づき

  • ▼新発想のケアで山本さんに笑顔が戻った

  • ▼「その人らしさ」とはいったい何なのか?

  • ▼「その人らしさ」より「ありのまま」が大事

  • ▼「あの頃は私、ムキになってたね」

  • ▼意図的に気づきを重ねてメンタルモデルを変えていく

  • ▼認知症の方が求めているのは「真の尊厳」を守ること

  • 3つの新メソッド~これがケアの常識を変える!

  • ▼パラダイムシフトへの2nd STEP――認知症ケアを大転換する3つの手法

  • ▼反応を見ながら介護者がケアを変えていく

  • ▼アセスメントから、その人に適したメソッドを見極める

  • ▼大切なのは、認知症を有する方のストレスの除去

  • ▼認知症ケアは知識と創造を合体させること

  • Column02 自閉スペクトラム症の方の支援と「構造化」の有効性

  • 第三章 「ロジカルケア」実践の心得

  • 大切なのは、“理解”をサポートすること

  • ▼本人が「事実」を受け入れられるよう支援する

  • ▼原則的には、まずロジカルケアから

  • ▼難聴は大敵、視覚からの情報伝達を意識する

  • ▼生活環境を整える「構造化」で主体性を引き出す

  • ロジカルケアのケーススタディ

  • 実践例1 初期支援のミスマッチを解消~丁寧な説明で事実を受容

  • 実践例2 事実を根気よく伝える~「物盗られ妄想」改善に向けて

  • 実践例3 カードで事実の理解を促す~身体拘束の回避を目指して

  • 実践例4 予定を視覚化する~安心して過ごしてもらう工夫

  • 実践例5 性的逸脱行為を抑制~趣味を楽しむ生活を取り戻す

  • 第四章 「ラテラルケア」実践の心得

  • 相手の“世界観”を共有し支援する

  • ▼場面ごと・瞬間ごとに応じた支援

  • ▼本人の「現実の世界」とチャンネルを合わせる

  • ▼ラテラルケアで明るさや快活さを取り戻す

  • ▼認知症の方にとって、起こっているすべては「現実」

  • ラテラルケアのケーススタディ

  • 実践例1 世界観に合わせて息子の死を伏せる~穏やかな最期へ

  • 実践例2 スタッフが家族を演じる~介護拒否が大幅に改善

  • 実践例3 相手が望む役を演じる~舞台は認知症を有する方の世界

  • 実践例4 願望を支援する~生きがいや気力を失わないために

  • 実践例5 歌で感情の起伏を抑制~友達づくりもケアの一環

  • Column03 認知症がもたらす「感覚の変化」

  • 第五章 「インテグレイティブケア」実践の心得

  • ロジカルケアとラテラルケアを融合させる

  • ▼介護者が対応を柔軟に切り替える

  • ▼認知症状の軽重でケアを決めつけない

  • ▼究極のケアを実現する構成要素の核心

  • インテグレイティブケアのケーススタディ

  • 実践例1 状況に合わせて声かけを変える~安定した生活の実現

  • 実践例2 ピクトグラムを活用する~放尿・放便が劇的に改善

  • 実践例3 世界観に合わせた支援の実施~本人の納得度を高める

  • 実践例4 キーワードからワケを探る~帰宅願望の軽減を図る

  • 実践例5 「ありのまま」を全面的に肯定する~地獄からパラダイスへ

  • ▼ケアの軸を明確にすることが冷静さを保つ鍵

  • 第六章 認知症ケアの新時代へ

  • 認知症を有しても、生活機能は維持できる!

  • ▼「これだけ脳萎縮がありながら……」と驚く医師

  • ▼できるだけ自身の力で生活できるよう支援する

  • 健康は「状態」から「能力」へ~ポジティヴヘルスの発想

  • ▼認知症になっても有意義な生活を送るために

  • ▼「客観的健康」と「主観的健康」

  • ▼いざというときに備えて「認知症ノート」を

  • 認知症の方の最大の理解者は“あなた”である

  • ▼認知症を有する方に学ぶ

  • ▼失敗はあって当然。それを次の工夫に生かすことが重要

  • ▼認知症ケアにおける10大原則とは?

  • ▼よりよいケアを実現するための2つのパラダイムシフト

  • ▼メンタルモデルから脱却するために意識を変える

  • ▼ダイバーシティ&インクルージョンに通じるケアの理念

  • 「認知症パラダイス」の実現に向けて

  • ▼テクノロジーによる非言語的コミュニケーション

  • ▼認知症ケアはサイエンスだけでは捉えきれない

  • ▼認知症ケアで問われるのはアート的創造力

  • ▼生命を守り、生活を愉しみ、人生を豊かにする

  • おわりに

  • 豊泉家ヘルスケアグループ 社会福祉法人 福祥福祉会のご紹介