増補改訂版 年金倒産

増補改訂版 年金倒産

SOLDOUT

AIJ事件で露呈した企業年金の“闇”とは? 経営者・担当者必読の書!

生き残りのため、企業が今なすべきこととは?
書き下ろし「第7章 AIJ事件が開けたパンドラの箱」を加えた最新版!

旧版『年金倒産』で指摘した厚生年金基金の制度的欠陥は、AIJ事件の発覚で白日の下にさらされた。新原稿を追加し、大きく変わろうとしている基金制度の今後を見据え、企業が危機を回避するための処方箋を提示する。

四六 判( 256 頁)
ISBN: 9784833441209

2013年04月01日発売 / 1,650円(税込)

――著者について

宮原 英臣(みやはら・ひでおみ)
オーヴァル・リスクマネジメント・サービシーズ日本支社代表

1954年福岡県生まれ。77年京都大学経済学部経営学科卒業。三菱商事入社、本社(資材部)配属。85~92年英国三菱商事(ロンドン)、92~96年三菱商事本社勤務。米国、中国、東南アジア等での国際合弁事業やM&A(企業買収)案件に携わり、国内外での企業経営、とりわけリスクマネジメントと新規事業構築に従事する。96~2003年ソニー生命保険勤務。中小企業向けのリスクマネジメントを主軸とする法人営業分野に特化し、実績を上げる。2003年オーヴァル・リスクマネジメント・サービシーズ日本支社代表に就任。企業年金の専門家として、新聞・雑誌へのコメント・寄稿をはじめ、フジテレビ「ニュースJAPAN」、NHK「視点・論点」「クローズアップ現代」などテレビ出演も多数。
趣味はラグビー。日本ラグビーフットボール協会のレフリー委員やルール委員長を歴任。99年ワールドカップにも日本代表チーム総務として帯同参加。NHKラグビー中継の副音声「わかりやすいラグビー」解説者も務める。

オーヴァル・リスクマネジメント・サービシーズ http://www.oval-rms.com

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目次

序章 神戸のタクシー会社はなぜ倒産に追い込まれたのか

ある倒産
高齢化社会が落とす影
“救済策”という名の高利貸し付け
未来の金につぶされる

第1章 身動きとれぬ“蟻地獄”
~厚生年金基金、戦慄のシナリオ~

見過ごされてきた年金問題
“公私混同型年金”厚年基金の危険性
年金の種類と構造
「代行」というしくみ
高齢化社会の到来と基金の成熟度
厚年基金の3つの形態・取り残された基金とは
増大する積立不足、決断する基金
「総合型」基金はなぜ減らないのか
残るも地獄、進むも地獄

第2章 厚生年金基金が追い込まれた理由
~底の抜けたバケツ~

大支給時代がやってきた
隠れていた病巣
突きつけられたレッドカード
「代行」という名のバケツから流れ続ける水
「賦課方式」と「積立方式」~疑惑の「修正積立方式」
インフレに翻弄される厚生年金
“修正”で行き詰まった厚生年金保険制度
厚生年金基金を苦しめる代行分の二重の負担

第3章 あなたの加入する厚生年金基金は大丈夫?
~決算数字が示す危険信号を見逃すな!~

基金財政の健全度は確認できる
数字のトリックを見破るには ~決算報告(年金経理)の読み方~
“禁じ手”も許される年金会計
<やってみよう!あなたにもできる基金財務分析>
年金会計に黒船襲来
運用リスクと“モンテカルロ・シミュレーション”
耳を疑う巨額の横領事件
欠如するモラル、効かないガバナンス

第4章 厚生年金基金の終着点
~ケーススタディで見る基金の道標~

現実となった「負の連鎖」
基金継続をひそかに望む人々
コスト意識がもたらした成功解散
年金関係者の驚くべきコメント
見切りをつける「潔さ」
破綻第1号の悲哀
吐き出された保有株式の含み益
脱退には多額の一時金が必要
脱退を阻む規約の改定

第5章 年金基金の赤字スパイラル
~危機脱出の処方箋~

赤字発生の大きな渦巻き
厚年基金の選択肢
もし基金を続けるのなら ~(1)現状維持
もし基金を続けるのなら ~(2)代行返上
もし基金をやめるのなら ~(3)基金解散
もし基金をやめるのなら ~(4)任意脱退
X厚生年金基金の場合 ~基金解散を目指すまで
危機を直視した最大手のY社
基金財政の分析によりチームが下した結論とは
「制度の改廃」へ立ち上がったS部長
最悪期からの脱出に向けて
怒号飛び交う事業主説明会
事業主たちの切実な声
どんでん返しの「任意脱退」~Y社の決断
戦い終えて、日が暮れて

第6章 “活きる”ための福利厚生へ
~根本から見直す「企業年金」~

企業年金は誰のもの?
二重苦にあえぐ総合型厚年基金
積立金ゼロという前代未聞の事態に?
財政悪化の責任は誰にあるのか
厚年基金の破綻はあるのか?
待たれる抜本的な救済策
老後保障の「年金」は国の仕事
雇用関係の親離れ、子離れ
政治の責任、企業の使命
誰もが生きがいを謳歌できる長寿社会へ

第7章 AIJ事件が開けたパンドラの箱
~厚年基金制度の今後と企業の採るべき道~

2000億円の年金を消失させたAIJ投資顧問事件
AIJ事件で表面化した基金制度の構造的問題
厚年基金をめぐる与野党の動き
問題解決に向けた民主・自民両党への提言
動き出した厚労省
明らかにされた代行制度の問題点
悲惨な代行割れ状況
代行制度廃止に大きく舵を切った厚労省
命運尽きた総合型基金
法改正への厚労省のすばやい動き
今、加入企業がなすべきこと

あとがき
増補改訂版へのあとがき