井伊家の教え

井伊家の教え
彦根藩35万石はなぜ300年続いたのか

「日本はこれからギアチェンジの時代を迎えなくてはならない。政治も、企業も、社会も、である。受け流されず、困難に立ち向かい、そして乗り越えるしなやかな力を、私は直虎を通じて学びたいと思っている。」──

徳川家康だけでなく、豊臣秀吉からも高い能力を認められた徳川四天王の一人だった井伊直政。その直政を育てたのが、養母の井伊直虎だった。幕末の大老で桜田門外の変で暗殺される井伊直弼に続く名門井伊家は、どのように形づくられたのか。彦根市出身で、彦根藩の元藩校だった彦根東高校卒業の田原総一朗氏が「井伊家」の歴史に大胆に迫る!

四六 判( 216 頁)
ISBN: 9784833422079

2016年11月30日発売 / 1,540円(税込)

[著]田原総一朗(たはら・そういちろう)
1934年、滋賀県彦根市生まれ。県立彦根東高校卒。60年に早稲田大学卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経て、77年フリーに。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。現在、テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』など幅広いメディアで活動中のほか、早稲田大学特命教授、「大隈塾」塾頭も務める。著書に『日本の戦争』(小学館)、『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』(講談社)、『誰もが書かなかった日本の戦争』(ポプラ社)など多数。

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目次

まえがき

第1章 「井伊家」から私たちが学べること――先見力で明日をつかむ

県立彦根東高校に宿る「赤鬼魂」の教え/節約の城・彦根城は、私たちに何を語りかけているか/「忠義」という生き方の過酷さ~抹殺された二人の忠臣~/平成の時代、日本人は“逃げない生き方”を貫いているか?/どう生き抜くかを、井伊家は教えてくれる

〈column〉井伊直弼の曾孫は殿様市長

第2章 「井伊家」千年の歴史――押さえておきたい史実を知る

平安中期、井伊家出生譚/井伊家千年と武士の誕生/浜松・龍潭寺住職から学ぶ/鎌倉御家人として栄えた井伊家/親王をいただき南朝方武士として戦った代償は/応仁の乱以降、今川氏との相克の果てに

〈column〉「国人領主」って、どんな領主?

第3章 直虎と直政のきずな――生き抜く勇気・活かす勇気

直虎と虎松の縁/永禄三年の絶望と永禄四年の希望/今川氏真、直親を誅する/非常時の城主・直虎の登場/おんな城主の深謀遠慮/井伊家復活の道を探して……/家康に託す直虎の想い/「井伊の赤備え」の誕生/小牧・長久手の戦いで「井伊の赤鬼」/秀吉の後押しもあり、直政、家禄で家臣筆頭に

〈column〉「三方善」と私の信条

第4章 譜代筆頭・大老家として生きる――忠義専心で将軍家に仕える

直政の政治的手腕と右肘の負傷/「徳川四天王」の一人、直政の早すぎる死/兄・直継の代役・井伊直孝、大坂冬の陣に参陣/大坂夏の陣の武勇で、天下にその名を轟かせる/徳川幕府・西国の要所を守る彦根城/藩主二代の功労で、将軍家との関係は盤石に/中継ぎであることを自覚する、三代藩主・直澄の器量/直政、直孝に次ぐ名君・井伊直興の治世/隠居し、現場復帰し、藩主に二度就任することに……/またも訪れた井伊家断絶の危機、その裏にあった“他家の養子探し”/領民のため藩政改革に乗り出す井伊直幸/激動の夜明け前を生きた井伊直中、己が人生を振り返る

〈column〉直政の遺言・直孝の遺言

第5章 幕末、主家を想い、日本を想う。そして、死を恐れない――勇気をもって守るべきを守る

井伊直亮が大老職在任中に感じた不穏な空気/西洋式軍隊の練成にいち早く取り組む/井伊直弼、一七歳からの一五年間を埋木舎で心鍛える/藩主就任前から名君だった直弼の手腕/二つの難問に対する直弼の判断は明快/勅許を待たず、日米修好通商条約に調印/大老・直弼の指示で始まった“安政の大獄”/桜田門にて井伊直弼、散る/典型的な保守本流の政治家・井伊直弼/幕末に翻弄された最後の藩主・井伊直憲

〈column〉佐和山と彦根城

あとがき

参考文献