文は一行目から書かなくていい

文は一行目から書かなくていい
検索、コピペ時代の文章術

SOLDOUT

電子メディア隆盛のいま、何をテーマに、どうのように書くか。ノンフィクション作家でもある著者が、プロとして身につけたテクニック。そのすべてを伝えます。

文章の本質は「ウソ」です。
ウソという表現にびっくりした人は、それを演出という言葉に置きかえてみてください。いずれにしてもすべての文章は、それが文章の形になった瞬間に何らかの創作が含まれます。良い悪いではありません。好むと好まざるとにかかわらず、文章を書くという行為は、そうした性質をもっています。(本文より)

四六 判( 192 頁)
ISBN: 9784833419598

2011年05月28日発売 / 1,430円(税込)

[著] 藤原智美(ふじわら・ともみ)

1955年、福岡市生まれ。フリーランスのライターを経て、90年に『王を撃て』で小説家としてデビュー。『運転士』で第107回芥川賞受賞。主な小説作品に『モナの瞳』『私を忘れないで』。小説創作のかたわらドキュメンタリー作品も手がけ、住まいと家族関係を考察した『「家をつくる」ということ』はベストセラーに。続編『家族を「する」家』はロングセラーになる。主なノンフィクション作品に『なぜ、その子供は腕のない絵を描いたか』『暴走老人!』『検索バカ』。『暴走老人!』では若者よりもキレやすい「新」老人の姿と、彼らの生態を通した現代社会の人間関係を考察し、タイトルのネーミングとともに視点の鋭さが話題を呼んだ。
公式サイト:http://www.fujiwara-t.net/

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目次

まえがき
 「書けない」が「書くこと」の第一歩
 「書くこと」は恥じらうこと


第1章 あなたは9歳の作文力を忘れている

文章の本質は「ウソ」である
プロはこうやって文章力を鍛える
小説とノンフィクションの違いとは
書く前にカメラの位置を決める
「カリブの海賊」には後ろを向いて乗れ
読み手を特定の一人に絞って書く
「思いのほか広かった」のどこが問題か
形容詞の使い方を意識する
ボキャブラリーは本当に必要か
自分にしかわからない感覚を文にする

第2章 プロ作家の文章テクニック

すべてを書いてしまわず、次の日に繰り越す
文は一行目から書かなくていい
シナリオライターの「箱書き」手法
逆接以外の接続詞を外す
「全然よかった」は正しいか
自分の文章のリズムを知る
鬱、薔薇……難しい漢字は記号にすぎない
短い文章には「メイン料理」だけを選ぶ
実は、削る力が重要である
「余談だが」「ちなみに」は使わない
まずは書きたい要素を盛り込んでから
ヒッチコックはこうしてアイデアを捨てた

第3章 名文の条件とは何か

名文かどうかは、風景描写でわかる
小説の会話の書き方をどうするか
著者の顔が見えるのは、つまりはダメな作品
つくり話こそ、小道具が必要
ときには、こんな手法で切り込む
「若者よ、海外旅行をせよ」の違和感
文章は真似から始まる
個性の正体とはどういうものか

第4章 日常生活で文章力を磨く

時間を忘れて没頭する
ワープロか、それとも手書きか
インターネットの魔力に勝てるか
朝には朝の、夜には夜の誘惑がある
集中力は音楽でつくる
1、2行の日記でも文章はうまくなる
読み手を意識した瞬間、日記は文学になる
メモにも必ず、年月日を記入する
料理のレシピの難しさとは
伝えたつもりだが、伝わっていない
締め切りの2日前に原稿をあげる

第5章 検索、コピペ時代の文章術

一本の井戸か、遠浅の海か
綴ることは、未来へつながること
「私の○○○も読んでください」
コピー&ペーストが文章を殺す
ランキング思考で直観力が衰える
キュレーションとは何だろう
タイトルの一人歩きに注意する
ネット辞書との付き合い方を考える
言葉が「フロー」になっている
縮小のスパイラルの末、誰が残るか
底なしの深い海に潜っていく

第6章 書くために「考える」ということ

デジタル化時代の「考える」ということ
無駄を切り捨ててはいけない
タイトルに悩むときはどうするか
数字のウソに気をつけろ
その図は文章にできますか
記事に主張が盛り込まれているか
資料におぼれるな
書きたいテーマが見つからない
心に引っかかったピースをすくいあげる

あとがき デジタル化時代の「書く」ということ