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まえがき――「袴田事件」とは
序章「袴田事件」と謎
第1章 火災発生
「せつない煙」/隣家で物音/シャッターは開いた/戸のすき間/開かずの扉/鎮火、四遺体発見
第2章 放火は故意か偶発か
清水港と味噌屋/開いたシャッター/ガラス戸も開放/裏木戸には閂/黙殺された石油缶/雨合羽はどこに落ちていたか
第3章 強盗罪の成否
強盗罪は成立するのか/2個の集金袋/集金袋の出所/甚吉袋の中か手提げ籠の中か/ガマ口の謎/手つかずの宝石、通帳
第4章 事件前夜まで
鰻屋で一杯/ビートルズファンの扶示子/内向的な雅一朗/火宅/2時間の不在/「父」の声
第5章 重要参考人
シミのついたパジャマ/「血染めのパジャマ」にした先入観/午後10時半までアリバイ成立/将棋の後、テレビを観た/だれとだれが袴田に会ったか/なぜか、誰も「見ていない」と証言
第6章 人格証拠
集中追尾/身辺調査を先行/浜名湖育ち/火事の原体験/「女癖が悪い」は本当か
第7章 家庭・離婚・子供
『店主』が結婚の条件/経営不振の理由/妻は全て夫の責任と主張/乳児を棄てて情夫のもとへ/こんな子がいるのにできるか
第8章 逮捕、勾留
見込捜査/ポリグラフが荒筋/逮捕前に面通し/予告された逮捕劇/苛酷な取調べ/自白に要した240時間/睡眠不足か脚気か
第9章 自白
供述調書に署名指印/強制された自白/「強制した事実はない」と取調官/くいちがう“自白まで”/最初の供述調書/供述調書専任ライター
第10章 供述調書I
検事調書/検事調書の影響力/「手拭の件は認めろ」と……/唯一採用された供述調書/時計とナイフ/クリ小刀の出所/「見覚え」が決め手
第11章 供述調書II
犯行当夜は“熱帯夜”/侵入口の謎/小判をとらず小銭入れを/集金袋の謎/左手中指の傷
第12章 供述調書III
被害者4人の服装/この恰好で眠れるのか、風呂は?/悲鳴、物音は外に洩れず/ちゑ子夫人は殺しの水先案内人?/金袋の血と落下地点/閂をかけたまま門外へ/工場の石油缶を使用というが
第13章 供述調書IV
どのマッチを使ったか/火葬台/放火順と逃走経路/集金袋の紙幣/集金袋と風呂場の血/パジャマとパンツ/ずぶ濡れ/盗んだ金は預けた
第14章 5万円を預けた女
冒頭陳述/C温醸室D桶下/5万円の使途/金を預けた女/つじつまの合わぬ5万円/袴田と女と警部補
第15章 五点の衣類
味噌漬けの服/衣類の詳細/衣類の疑問/ズボンと共布/全般的に「大きい」
第16章 第一審判決
タンクの味噌/残量と深さ/袴田が踏んだ?/絆創膏の出所/警察と絆創膏/包帯か絆創膏か/判決は死刑
第17章 東京高裁の争点
争点/黒革財布/もう一人の逮捕者/5万円投函していない/捜索されていたタンク/味噌を踏んだのは誰か/上着はA型下着はB型/大きすぎたズボン
第18章 遺体の傷
消化されない果物/死亡時刻は何時/いつ刺されたか/点火で死亡/傷の特徴/クリ小刀だけなのか/油の同一性に疑い/篠田鑑定は「言いすぎ」/シェル印石油缶
第19章 再審に向けて
高裁、最高裁判決/救援活動の流れ/ボクシング協会も支援/裏木戸実験/新生『救う会』/再審へ
あとがき
付図・付表